【江ノ島旅行記】年末は江ノ島に行ってました。【稲村ケ崎編】

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※今回は小説風に日記を書きました。その為、アンダーラインや太字等は使っていません。小説を読んでいるような感覚で楽しんで頂けたら幸いです。

江ノ島旅行記 ~稲村ケ崎編~ 

2019年12月29日、僕は彼女と江ノ電に乗っていた。

僕らははじめに、江ノ島でも、鎌倉でもなく、「稲村ケ崎」という駅で降りた。

朝食を食べるためだ。

鎌倉も、江ノ島も行った後に言えることは、「稲村ケ崎」が1番だったということ。

"江ノ電"と聞いて思い浮かべる景色、まさにそれ、というものを見ることができたし、少し歩けば海辺にも出られる。天気も良く、澄み渡った青空と冬の透き通った空気が太陽の光に照らされて、何もかもが鮮明に、美しく見えた。

片手に持ったサンドイッチめがけてトンビが滑空してきたのもいい思い出だ。

鎌倉や江ノ島のような食べ歩きのできる商店街はないけれど、人通りが少なくて、落ち着いた田舎道。

細い道路をすれ違う軽トラや、自転車を走らせる郵便屋さんと八百屋さんの世間話。

「札幌」という人口の多い都市で育った僕には、見覚えのない光景のはずなのに、どうしてだろうか。

すごく懐かしいような感覚だった。

DNAに刻み込まれたご先祖様の記憶を呼び覚ますような空間。

予定の詰まったこの旅で、1番ゆったり時が流れていたように思う。

朝食を食べたのは「ヨリドコロ」という店だった。

最近の女子は、観光地や飲食店をInstagramで検索するらしい。

彼女が"インスタ映え"するといって探してきてくれたこのお店。

伊豆の海で獲れた新鮮な魚の焼き物と卵かけご飯が人気のようだ。

今更、卵かけご飯の何が人気なのだろうと思ったが、すぐに謎は解けた。

卵の白身をメレンゲになるまで泡立てて、ふわふわの状態でご飯に盛る。

その上に卵黄を落とす。

大したことはない。ただそれだけのこと。

それだけのことなのに、とても美味しそうに見えるんだこれが。

これが"インスタ映え"というやつだ。

人気店のようだったから、僕には心配事があった。

"行列"だ。

店に着いたとき、店の前には4組ほどの先客が並んでいた。

これくらいなら、、、と大の行列嫌いの僕も胸を撫で下ろした。

少し待っていると、中から店員さんが出てきた。

見た目は30代後半くらいだろうか。髭を生やした男性で、髪を明るい茶色に染めていたから、実際より若く見えていたかもしれない。

その店員さんは、予約表のようなものを見せながら、列の先頭にいたカップルに説明を始めた。

僕らはそれを後ろから聞いていた。

「ただいま、お客様の前に、1,2,3,4,5,6,7,8,9組待ちの、10番目なんです。」

僕らは目を丸くして顔を見合わせた。

それが本当なら、僕らは14番目ということだ。

「諦めよう。」

その言葉が喉まできていたが、店員さんが話を続けた。

「でも目の前に9組のお客様見えませんよね?実は、お散歩しながら待ってもらっているんです。時間にすると、1時間から1時間半くらいだと思います。その間、この辺りをぐるっとお散歩して戻ってきてください。あっちに行くと、海辺でキャッキャできます。あっちに行くと、海街diaryという映画のロケ地にもなった極楽寺駅があります。そう、広瀬すずのやつです。観た人は行ってみてください。そんな風にして時間が来たら戻ってきてください。今すぐ飯食わせろという方は申し訳ございません。どうしますか?」

優しいようなハッキリしたようななんともつかない声色と表情で、明るいのか、落ち着いているのか、不思議なトーンと速さで話す人だった。

安らかな、和んだような雰囲気が流れて、待っていた人たちは皆それに同意して散り散りに歩き始めた。

もし、この時店員さんがこの提案をしていなかったら、きっと僕は「諦めて、他のところを探そう。」と言っていたと思う。

もっと言えば、すんなり店に入っていたとしたら、「稲村ケ崎」で散歩しようとは思わなかっただろう。

「稲村ケ崎」はあくまで「ヨリドコロ」に行くために立ち寄ったのであって、今回の旅のメインは「江ノ島」や「鎌倉」であったのだから。

仮に、順番を待っている間、店の前にいなくていいのだとしても、お客さんから聞かれるまで言わない店員さんは多いだろう。

土地柄、散歩には向いている場所だったし、1時間という時間もむしろちょうどよかったと思う。

今思えば、「ヨリドコロ」はあの"お散歩"ありきの朝食だった。

あの店員さんは、たった一つの提案で、僕らの待ち時間を旅行の思い出の一場面として刻み、「稲村ケ崎」の魅力を最大限体感させた。

散歩をしたおかげでお腹も空き、最高の状態で食べた「サバ定食」はもちろん絶品だった。

散歩に行く前、キャリーバッグを預かってくれた。

それも店員さんからの提案だった。

その時にどこから来たのかと聞かれ、北海道の札幌だと言うと、うちの妻も札幌出身なんです、それならホッケ定食はやめておきましょう。と笑いながら話していた。

こんな些細な会話すら覚えていることが、僕にとってこの場所、体験が素晴らしいものであったと証明している。

こんな素敵な人がいる、お店がある。

「稲村ケ崎」「ヨリドコロ」、そしてその店員さんに感謝したい。

最高の1日だった。

≪完≫

おわりに

今回は、年末に行った江ノ島旅行の思い出の一場面を小説風に書いてみました。

「稲村ケ崎」の雰囲気や情景は伝わっているでしょうか。

これを読んで行きたくなったという方がいたらとても嬉しいです。

最高の思い出を作ってくれた「ヨリドコロ」に少しでも恩返しができたらいいな、と思っています。

では、次回の「小説風日記」も楽しみにしていてくださいね。

BYE!

けびん

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